飛翔するサギの識別は難しい。でも面白い。一体どこが面白いのだろう。やっぱり皆で「ダイサギだ」「いやチュウサギだ」「今度はコサギだ」「いやアマサギだ」などとワイワイ言いながら識別してカウントするその過程が面白いのではなかろうか。一人孤独に識別していてもそれはそれで楽しいがやはり皆でやるところに面白さがある。サギがいて、調査仲間がいて、調査しているというやりがいがある。これが普通の探鳥会にはないサギコロニー調査の魅力である。ひとたびこの魅力にハマると毎年のサギコロニーシーズンが待ち遠しい。飛翔するサギの識別は難しいが、一方、その識別のコツを覚えるとよいこともある。例えば探鳥会で一羽のサギが上空を通過したとする。皆が「コサギだ」「チュウサギだ」と言い合っているとき、サギ調査で目の肥えたあなたは、腕を組み、アゴに手を当ててこう断言する。「ふーむ。早い羽ばたき。短いクチバシ、そしてなによりスッキリとしてふくらみのないのど元、故にあの個体はアマサギの冬羽である。」すると回りの人々から「へえ~、アマサギの冬羽ですか。よくわかりますね~。」と称賛の声を浴び、その日はずっと幸せな気分でいられる。こんな実に野鳥の会らしいささやかで慎ましい楽しみが待っているのだ。